うつ病のチェック項目に、家族・親族にうつ病などの精神疾患にかかっている(かかったことがある)人はいるか。という項目があるのを見たことがある人もいると思いますが、実際に遺伝するのかどうか、といったことについて今回は書きたいと思います。
精神病が遺伝するのではなく、なりやすい特性が遺伝する
精神病の人が身近にいると、情緒不安定なことも多くその影響を受けるなどで、一緒にいる人も気を付けた方がいいというのはよく聞く話かと思います。
そういった意味では、幼少期からそういった影響を受けて育つこと(環境要因)として、発病する確率としては上がるのではないかと思います。
それは、『遺伝した』というよりは、環境的な要因に入りますね。
遺伝するのは、『精神病になりやすい性質』だそうです。
例えば、
こういった、ストレスを大きく感じやすい特性を持っているタイプの人は、
『なりやすさ』が遺伝している、ということらしいです。
なりやすさ、に加えて、発病する外部要因・環境要因が重なった時に病気になる、ということのようですね。
大きな環境の変化が起こった時(結婚・出産・離婚・退職など)や、ショックを受ける出来事があった時(親しい人が亡くなった・愛犬を亡くした、災害など)には、誰でもなりえる可能性があるというのは、
多くの人が差はあれどこのなりやすい『遺伝子』を受けついているからなのかもしれません。
それが、なりやすい遺伝子が強い傾向がある人は、
日々の生活の中でもストレスを抱えすぎると発病のリスクがかなり高まる、
ということなのかな、と言う風に解釈しました。
VMAT1遺伝子(Thr型・le型)と精神病の関係
うつ病にかかったことがある人は、病気に神経伝達物質が関係しているということを聞いたことがある人もいるかと思います。
ここからは更に専門的な用語が入ってきて何がなにやらという感じがする人もいるかもしれませんが、要は簡単によく言われている『陽気な外国人』『内気な日本人』と言われているやつを遺伝子的に言うと…
といったところかと思います。
Thr型が内気なタイプですね。
神経伝達物質をとりこむ機能が弱いため、うつ病などになりやすい傾向があるようです。
こちらの参考にさせて頂いた記事はかなり興味深いことが書かれてましたので、全部は説明しませんが、興味のある方は是非読んでみてください。
この記事の中の、【図1. 世界各地の集団におけるVMAT1遺伝子変異の頻度(Sato & Kawata, 2018を一部改変)】が面白いですね。
遺伝子が世界に適応して進化していくものだとしたら、Ile型がどんどん優位に働きIle型が大多数を占めてそうですが、
私たちの心の多様性に関わる遺伝的変異が自然選択によって積極的に維持されている
Laborify 精神疾患を生み出す遺伝子とその進化 より引用
この話は、かなりこの世界の可能性を感じるものがありますね。
最近、『サピエンス全史』という本を読んだのですが、
歴史の中でホモサピエンスがしてきた事を思うと人間とは如何に自分と違うものを受け入れられない、他を排除しようとする生き物である、そういう遺伝子を受け継いでいるのかもしれない。
そんな風に思ったのですが、それに対しこれは面白い話ですね。
そんなことを思いました。
遺伝は変えられないが、環境は変えられる
さて、うつ病になりやすかったり、なってしまったからと言って、イソロイシン(Ile)型に産まれたかった、とか言ってもしょうがありません。
どういった部分が病気を発病しやすいのか、自分の特性をよく理解し、
自分に合う環境を選択していき、弱い部分はどうカバーしていくかを考え身に着け、しかしどうしてもストレスは発生してしまうと思うので自分に合った解消法をもつ。
こうやって、なるべく病気にならないよう気を付けていくしかないのだろうなと思います。
遺伝自体は変えられないけれど、こうして自分に合った生き方を選択していく、そうしたことが大事なのかな…という風に思います。
最後までよんで頂いてありがとうございました。
◎精神疾患をもつ人を、病院でない所で支援するときにまず読む本 “横綱級”困難ケースにしないための技と型
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